真の異文化交流とは?(3)近隣諸国の歴史を自国の歴史として学ぶことが第一歩

投稿者 鄭賢珠(韓国)イーストウエスト日本語学校
2008年1月10日投稿

 異文化交流の授業で、日本の大学生と話す機会があった。話題が、「外交」になったとき、日本の大学生は深く話せなかった。いま思えば、それまで学校で受けてきた教育の違いが原因だったように思う。

 私は、韓国と近隣諸国との関係に深く興味があるが、それは中学、高校時代の歴史の授業から始まったといえる。韓国の歴史の授業というと、「反日教育」と思われる人も多いと思うが、そうではない。

 昔から韓国は日本と切っても切れない関係がある。私たちは、日韓関係を「自国の歴史」として学んできた。これは日本に限らず、韓国と中国の関係についても同じである。韓国の歴史の授業で、今も韓国の小、中、高校の学生たちが学んでいる。

 中国の歴史の授業も、日本との関係については「自国の歴史」として学習すると耳にした。それで、私が在籍しているクラスの台湾とロシアの人たちに聞いてみると、「韓・中・日」の関係や歴史については、みんなが知っていると言うのだ。それなのに、私が話した日本の大学生たちは、なぜ、日本と韓国、日本と中国の関係について、あまり知らないのだろう。

 私が聞いたところでは、日本では、日本の周辺国である韓国や中国などとの関係を、自国の歴史としてではなく、世界史として捉えているようだった。なぜだろう。日本の学校では、学生たちに「自国」のこととしてではなく、世界史として認識させたいのか、それとも「自国」のこととして考える必要がないと考えているのだろうか。私にはとても理解できない。

 子どものころから、自分の国のすぐ近くにある国のことを、身近なこととして教えられていない人たちは、それを全く知らないまま大人になっていく。だからその人たちが日本とその近隣の国との関係について、深く考えられないのは当然である。もし学んでいたら、なんとなく自分の中に、いろんな意見や疑問などを持つようになるはずなのに、学んでいないので、あまり深く考えられないし、興味もわかないのだろう。

 確かに私も、韓国の近くにある国以外との関係について聞かれたら、答えられないかもしれない。だとしたら、違った国の人たちがお互いに話し合うには、他の国の歴史の中で自国の姿がどんなふうに書かれているのか、自分は、そして自分の国は何をどう考えるべきかを勉強しておかなければならないと思った。

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