「交流会」は宝石みたいなもの

これは、2010年3月にイーストウエスト日本語学校で実施された「なでしこ作文コンテスト」の入賞作品です。

投稿者 林宙姫(韓国)イーストウエスト日本語学校
2010年3月18日投稿

 交流はお金の価値では数えられない宝石のようなものです。
 今までいろいろな交流会をして来ました。近所の小学生の子供達と柏餅を作って食べた日本に来て初めての交流会。子供たちもすごくかわいかったですし、先生から「手を洗ったらその次はモチをもらうまで絶対ものを触らないでください」と言われた子供達は何も触らないようにしました。しかし、帽子をかぶっていた女の子一人が私のところに来て、「頭がかゆいんですけど、触れません」と泣き顔で言いました。本当にかわいくてしかたがなかったです。

最優秀賞のイムさん(向かって右端)

 子供がかわいいのはどこの国もたぶん一緒だなと思いました。だいぶ仲良くなりました。だからこそ、別れる時、すごくさびしかったです。その時、子供達は「また会えるよね?」と言ってくれました。今でもその時を思い出したら、笑顔とともに初めて、交流会の楽しさを気づかせてくれた子供達を思い出します。
 
 交流の楽しさを知った私は、どんどん交流の機会があったらやるようにしました。2回目の交流は日本の大学生と話をする会でした。韓国の料理と日本の料理の違いや日本の若者の言葉などを話して、いろいろなことを知ることができました。
 
 また、この時ものすごく今までも忘れられない話があります。それは名前の話でした。私の名前は林(イム)宙(ヂュウ)姫(ヒ)です。宙は宇宙の宙で、姫はひめの姫です。つまり、宇宙のような広い場所で姫のような人になれという意味です。この話をしたら、大学生達はすごくいい名前だと言ってくれました。今まで名前がいいなど言われたこともなったですし、興味もなかったです。このような私でしたが、大学生達の話を聞いて名前の大切さがわかったのです。
 
 「日本の伝統楽器三味線、習ってみませんか」学校の先生から聞いた話でした。私はすぐに「やりたいです」と言い、三味線を始めました。先生もすごくやさしくして下さって、私は今2曲も弾けるようになって、学校の卒業式で演奏することになりました。私は日本人の友達に「特技は何ですか。」と言われたら、自信を持って「三味線です。」と言います。
 
 何回もいろいろな交流会をしてきた中で、いちばん頭の中に残る交流があります。それは「早稲田大学留学生によるスピーチコンテスト」です。大学生にアドバイスをもらいながらスピーチの原稿を書く、親しみ合いのために、運動会などさまざまな交流をすることでした。その時、ちょうど外国人の留学生として話したいことがありました。それは2回目の大学生と話すときに言われた「名前」についてでした。今まで「名前は人を現すだけのもの」だと思っていましたが、交流を通じて名前の大切さを知ったということを日本の皆さんのみならず、もちろん留学生達にも伝えたかったのです。

 それで、面接して、合格をしてスピーチをすることになりました。一班に十人位いて、皆出来る時間を話して、一週間に一回ミート(ミーティング)をやりました。仲良くなるために運動会もして、すごくいい思い出が出来て、班の皆とも仲良くなりました。皆で一生懸命頑張って、原稿も完成しました。  
 
 次はポスターを作ります。韓国で有名なこと、私の自己紹介を書くポスターでした。自己紹介のところには、もちろん特技は三味線で好きな言葉などいろいろな紹介を書きました。最後には韓国の有名なことでした。なかなか浮かばなくて困った時、班長が「焼肉」と叫びました。皆は大爆笑をして、焼肉の話が出たからと言って焼肉に行きました。韓国の料理を食べながら写真を撮って次のミーティングの時、ポスターに張ることにしました。
 
 スピーチコンテストの日が目前の最後の時、最後の練習をしました。今まで皆で頑張って完成させたこのスピーチを一生懸命しなくちゃと何度も思いました。そして、ついにあの日が来ました。本番の10分前でも練習、練習でした。ついに、私の順番になって大きな舞台に立ちました。名前の大切さを気づかせてくれた大学生達も来てくれました。私は後悔のないように頑張りました。
 
 スピーチコンテストの結果、残念ながら賞はもらうことはできませんでした。悔しい涙と班の皆にごめんなさいの涙と、こんなすばらしい経験ができた幸せの涙が出てきました。賞よりもっと大切なプレゼントをもらったのです。
 
 子供達のやさしさ、名前の大切さを気づかせてくれた大学生達、特技を持つことができるように三味線を教えてくださった先生、また賞ではない大切なことを教えてくれた早稲田大学WICの皆さん…このすべてが交流会を通じてもらった宝石のようなものです。
 
 私はこれからも交流会の楽しさを皆に知らせながら続けたいと思います。

受賞前の3人

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